映像には「情報を伝える力」だけでなく、「心を動かす力」があります。特に今の時代、商品やサービスの魅力を伝える上で最も大切なのは「物語=ストーリー」だと私は考えています。
今回ご紹介するのは、佐賀県太良町で国産豚肉の卸売業から加工品製造まで一貫して手がける、田嶋畜産様の映像制作事例です。シャルキュティエ(食肉加工職人)として本場ドイツでも実績を持つ田嶋征光社長が主催する「生ハム塾」という教室のプロモーション映像を制作させていただきました。

この映像の目的は、「生ハム塾」への参加者を増やすこと。単なる説明や記録ではなく、「なぜ参加したくなるのか」を視聴者に感じてもらえるストーリー性のある映像を目指しました。
■ “物語”で伝えるプロモーション
田嶋畜産様からのご依頼は、2024年の秋。最初にヒアリングをさせていただいた際、私が強く感じたのは、田嶋社長が「自分たちの想いをただ説明するのではなく、体験として伝えたい」という姿勢でした。
そこで私は、単なる紹介映像ではなく、参加者を主人公に据えたストーリー形式の企画をご提案しました。生ハム作りという一連の工程を、参加者の体験として追いかけながら、随所に田嶋畜産のこだわりを自然に盛り込む構成です。
このアプローチに、田嶋社長も「それでいきましょう」と快諾。物語として映像を紡ぐ方向性で制作がスタートしました。
■ 撮影の狙い──工程だけを追わない
映像制作の現場ではよくあることですが、「何を撮るか」だけでなく、「どこに心を込めるか」を見失うと、ただ工程をなぞるだけの説明映像になってしまいます。
特に今回は、生ハム塾のように体験が中心の企画。そこで私が意識したのは、「工程の中にある感情の動き」をとらえることでした。
たとえば、初めて骨付きの豚肉に触れる参加者の驚き、プロから教わることで得られる安心感、そして自分で塩を刷り込む手ごたえ。これら一つひとつの表情や仕草を、丁寧にカメラで追いました。

■ ハイライトは“生ハムパーティー”
特に印象的だったのが、年に一度開かれる「生ハムパーティー」のシーンです。自分の仕込んだ生ハムは熟成中なので味見はまだできませんが、プロが仕込んだ生ハムを仲間たちとともに味わう体験は、参加者にとっての大きなクライマックスです。
笑顔、歓声、真剣な表情──。このシーンでは、年齢も性別も異なる参加者が、一様に「体験の価値」を感じている様子が浮かび上がってきました。視聴者が「自分も参加してみたい」と思うのは、こうした**“感情の共有”**ができたときです。


■ “想い”は、編集で見せる
映像の終盤では、田嶋社長の故郷・太良町への想いも盛り込みました。
「太良町は、有明海と多良山系に囲まれた自然豊かな町。昔から養豚が盛んで、豚肉文化が根づいている。」
そんなお話を聞きながら、町の風景とともに映像で描いたのは、「地元への愛」があってこその製品づくりという姿勢。あくまで映像としての尺は短く、ですが、視聴者に余韻を残すよう編集に工夫を凝らしました。
■ 映像が伝える、“参加する価値”
この動画では、生ハム作りに必要な16か月という時間の重み、塩と肉だけというシンプルさの奥にある哲学、そして地域と人をつなぐ食文化というテーマが重層的に描かれています。
けれど、それらはナレーションやテロップで一方的に語るのではなく、「参加者がどう感じ、何を得て帰っていくか」というストーリーを通して伝えました。
「自分の手で仕込んだハムを、家族で食べる日を楽しみにできる。」
それは、単なる教室参加ではなく、“未来を予約する体験”でもあります。
■ ストーリーテリングの力を、地域企業のために
私は、地方で事業を営む皆様の「想い」や「背景」にこそ、他にはない価値があると考えています。ですが、その価値は、ただ説明しても伝わりません。
だからこそ、ストーリーが必要なのです。
誰が、なぜ、どんなきっかけで事業を始め、どんな想いで日々の仕事に向き合っているのか。その「物語」を、私は映像としてかたちにするお手伝いをしています。
今回のように、自社開催の体験イベントやワークショップ、商品に込めた想いを発信したい方にとって、映像は強力なツールになります。
田嶋畜産様の事例にご興味を持たれた方は、ぜひ下記リンクより実際の動画をご覧ください。きっと、貴社のプロモーションのヒントになると思います。
【制作実績リンク】
地方発の事業にこそ、物語があります。
その魅力を“体験ごと”届ける映像を、一緒につくっていきませんか?
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株式会社ひぐちワールド 映像ディレクター 樋口浩一
佐賀県佐賀市を拠点に、九州エリアを中心として対応しております。
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