自分たちで動画制作!インハウス(内製化)テクニック③ シナリオ編 其の三 続「面白さの正体」 注目されるコンテンツを作るポイント

今日は「面白さの正体」についてご紹介するブログの2回目です。今回も情報発信のためのコンテンツ制作で企画やシナリオを作る際、皆さまの参考にしていただけるような内容をご紹介していきます。

ターゲットを想定する

シナリオの構成を考える時、テンポや情報を伝える読者や視聴者に届けるタイミングなどを考慮する必要があります。このことは不特定多数の人たちを視聴者として想定するテレビ番組制作の中でも、ディレクターとして常に求められてきました。

テレビはいわゆるマスコミですが、そのマスの中には当然、小さなお子さんからお年寄りまで様々な年代の方がいらっしゃいます。そして性別も職業も住んでいる地域も、趣味や趣向、価値観なども当然、人によってバラバラです。そんな中で番組のターゲット、つまり「誰に向けて番組を作るのか」という問いはとても重要でした。

そのことで悩んでいた頃、私が尊敬する、あるテレビ番組制作のプロデューサーがこんなアドバイスをくれました。

「誰に番組を届けたいのか明確なビジョンを持って作れ。そうすればそれは結果的に多くの人に届く番組になる」

この言葉は今でも番組に限らず、あらゆる物語のコンテンツを作っていく際の私の指針となっている言葉です。

重要なのは前回の記事でも触れた「具体性」。ここではターゲットが「誰か」という部分の具体性を指します。

私の場合、それは取材協力者でした。番組は当然、マスコミというメディアの媒体、性質上、誰かを取材し、その人物を主人公などに設定してインタビューしたり、もしくは番組として内容を伝えていく為の情報を検討・補強していきます。

公平中立の立場に立ち、普遍的な示唆や問題提起、価値を発信していく番組の中で、その企画の狙いや意図に賛同し、時間を労力を割いてくれた取材協力者に、私はディレクターという立場で報いたいと常々、思っていました。

「あの時、わざわざ時間を作って話をした甲斐があった。あなただから話したんだ」

その言葉が取材協力者から聞けた時、私はとても嬉しいと思いましたし、同時にこの人たちに「協力してよかった」と思ってもらえる番組を作りたいと考えたものでした。

そして、その考えは私を育ててくれたプロデューサーも同じでした。彼は「可能なら初回放送を取材協力者と一緒に見るつもりで作れ」と言っていました。もしそうした場合、誤った表現や相手の意図を捻じ曲げるような印象操作、こちらの都合ばかりを優先した作り方をしていれば真っ先に叩かれます。それくらいの覚悟を持って作れというプロデューサーの教えは今も私の中で生きています。

少し、話が横道にそれてしまいましたが、お伝えしたいのは、それくらいターゲットの想定が重要だということです。これを考えることによって、番組制作の中で撮影する映像が本当にこの撮り方でいいのか、この情報をこのような言葉でナレーションとして触れていいのか、タイトルは本当にこれでいいのか、などあらゆる「表現方法」を検討することとなります。ターゲットが具体的であるが故、それは具体的になります。

もし小学生をターゲットとする番組ならば、当然、難しい専門用語や言葉の表現は避けようと考えますし、どうしても触れなければならない場合は、子ども達にもわかる例えを考えたりして、言い換えたり、分かりやすいイラストを作って番組内にさしはさんだりすることも考えます。これらは「ターゲットの具体的な像」がイメージできているからできることであり、それが結果的に「伝える」ことに繋がる。そして「面白い」に繋がる。

「面白い」はその要素の中に「分かりやすい」が含まれているのです。

他にも、ある小説家の方のこんな話があります。

あるyoutubeチャンネルである小説家の男性Bさんがこんなことを話していました。

Bさん「自分の作品をあるエンターテイメントの動画配信サービスで作って欲しいから、採用されるようなものを書きたい」

司会「どうしてですか?」

Bさん「歴史小説とか書いているけれど、10代とか20代とか若い世代の人たちにも読んで欲しい。若い人たちに、その動画配信サービス人気でしょう。配信されたら、私の作品に触れてもらえる、いい機会になるんじゃないかと思って」

司会「いいですね。でも採用されますかね」

Bさん「だから研究しまくった。そしたら開始5分以内で大体、事件が起きているんだよね。昔はよく小説では、最初は主人公を掘り下げていくことがセオリーみたいに言われていたけれど、この動画コンテンツでは実写ドラマでもアニメでも最初の五分で人物紹介を大してしないうちに事件が起きる。」

司会「三幕構成みたいですね」

Bさん「実際、それでやってみたら採用された。もちろん、工夫したのはそれだけじゃないけれど」

ここでBさんが行ったのは「ターゲットである10~20代の人たちに刺さる物語の構成」の研究です。それをジャンルで避けずに、人気のコンテンツを研究し、理論的に構成フォーマットを導きだした。

これは構成、言いかければ構造を応用しただけで、パクリとは違います。

別のある評論家は、こういった構造を「人類共通の財産」と断言していました。三幕構成に限らず、古い時代からシェイクスピアや、ギリシャ悲劇の中で生かされてきた物語の構造は、内容を変えていろんな場所で現代の物語コンテンツの中に活かされています。そして、その構造は、「想定するターゲットに感情移入してもらう為には、どのような構造がよいか」について考え抜かれてきた先人の知恵と遺産であるとも考えられると思います。

 そういったことを踏まえると、Bさんの行った研究は実に理に叶っていて、確かな根拠に基づいていると私は思うのです。

 番組制作の中で私も同じことを考えていました。私の場合は手掛ける同番組の過去作品や、視聴者モニターを参考にしながら、一番、その番組がターゲットにしている視聴者に届く構成を探っていく、という方法をとったのです。

それは撮影の時(小説で言えば執筆の時と同じ意味合い)にも生かされました。私が以前、制作した佐賀の山里を舞台にした番組は、「山里の村に暮らし人々の豊かさを日々の暮らしを通して伝える」というコンセプトで、視聴ターゲットは県内の50~70代と比較的、上の世代の人たちでした。そういった意味でもリアリティや現場の感覚を表現することが重要でした。何故ならば、番組の主人公は特別な人ではなく、その山里に暮らす普通の人々だったからです。番組で、その人たちの日々の暮らしのディティールが見え、その物語が「豊かさ」という抽象的な概念が形となった実生活に結び付いている場面を紹介していく以上、見ている人たちもまた、全く同じではないにしろ、その様子を自分たちの生活に置き換え、「共感」と「差異」を感じながら面白味を噛みしめてくれます。実際に初回から最初の何回かまでの視聴者から伺った話の中には「自分たちと比べて~」という、番組の登場人物の暮らしを自身に置き換えた上での感想が多くありました。

その為、私はより番組の「素朴さ」と「等身大」という部分を大切にしようと思ったのでした。

結果的に私は手持ちカメラ一つで現場に臨み続け(番組企画としてもカメラ一つでいくことが決まってはいたのですが)、それは成功しました。一年ほどで終わる予定だった番組は五年、続き、放送回数は120回を超えました。

通常のテレビ取材のように大きなカメラを持ったカメラマンや音声マン、照明、ディレクターと取材される人が四人くらいのテレビクルーに囲まれることはなく、小さなカメラを持った私が1人、被写体となる山村の農家の人たちに向き合ったことによって、素朴さや率直さ、等身大である感覚が映像の中に映し出されました。また撮影者が一人で、相手の都合が許す限り、自分の裁量の中で時間はいくらでもかけられます。その為、相手の話すスピードやタイミングに合わせて撮影することができた。そこに相手の表情も相まって真実味のある説得力のある本音が収録できたのです。そしてそれは視聴者に「共感」を呼び、結果、ターゲットとしていた人たちに「面白い」という反響をいただく結果となったのでした。これも毎回、しつこく尋ねてくる私に快く取材協力をしてくださった村の人たちのおかげです。この場を借りて、改めて深く感謝を申し上げます。

 ここで大切なのが、「面白い」にたどり着く方法は、決して自分の伝えたい事をなげうって、視聴者の興味の物語におもねる、ということではないということです。例に挙げた小説家の方の話も、私の番組制作経験の話も、あくまでも自分の「伝えたい」ことを伝える為に、具体的なターゲットに一番届く方法として、ある「構造」や「方法」を選んだことです。

この構造や方法を研究し、応用するときに材料とするのは当然、自身が伝えたいと思っていること。その一側面です。そのため、「面白い」を作る為には、ターゲットに適した構成や方法を見つけ、それに沿って「自分の商品やサービスの一側面」を整理し、あてはめていく作業となるのです。

 「面白い」を生み出す「謎」

最期に最近、気づいた面白さのもう一つの要素について、触れます。

いろんな理論や理屈の中で「面白さ」を表現するためのポイントを紹介してきましたが、その中に「分からなさ」も重要であることに私は最近、気づきました。

いわゆるミステリー小説で「面白い」と思われる要素です。

それは事件がらみの謎でなくても、当然かまいません。よく番宣cmで「〇〇で〇〇なことを実現 その裏には驚きの真実が」などと煽り文句を耳にする機会があると思います。これは視聴者の驚きや関心を、番組出演者が代弁する形でリアクションを見せ、その原因は本編で見てください、という流れで本編番組視聴を訴求するためのもの。

ここでは出演者のリアクションの原因となったものが「謎」として「面白そう」という視聴者の感情を刺激しています。人間は知的好奇心のある生き物です。

この知的好奇心をコンテンツ制作者が伝えたい情報の方向に「刺激」することで、視聴者はその方向に、この好奇心を向けてくれる。コンテンツの表現の中で「説明」と思わせず、「面白さ」につなげるコツはここにもあるのです。

まとめ

ここまで「面白さの正体」について、とりとめもなく色んな事に触れてきました。まとまっていない点はすいません。

私は「面白い」コンテンツ、つまり視聴者に届き、時には行動(興味や関心の喚起や購買行動)に繋がるようなコンテンツを依頼された方と共に作っていきたいと考えています。その為、より楽しくワクワクする内容を伝えるために力を尽くせればと思っています。それはビジネスでも同じです。「ワクワク」という感情は未来への希望や期待に満ちています。ビジネスが「ワクワク」する会社様のPVは自ずとそれを伝える映像や言葉も「ワクワク」が表れたものとなります。

そんな「面白い」コンテンツ作りを皆さんと共に取り組んでいければと思っています。

これからもよろしくお願いします。