―はじめての企業映像づくり、一緒に考えてみませんか?(3)
「動画を撮ってもらえば、あとは編集でどうにでもなるでしょ?」
企業の担当者さんから、そう言われることがたまにあります。
でも実は、映像というのは、撮る前にどれだけ“考えているか”で決まるものなんです。
編集で帳尻を合わせることはできても、伝えたい本質があいまいなままだと、どんなに綺麗な画を並べても“届かない動画”になってしまいます。
今日は、**映像をつくる前に考えるべきこと=「8割の準備」**について、少しお話ししてみたいと思います。
■ どんな人に、どんな気持ちになってもらいたいか?
映像をつくるとき、まず最初に確認するのは「この映像で、誰に、どんなことを伝えたいか?」です。
たとえば、以下のような違いがあります:
- ✅【採用動画】
→ ターゲット:20代前半の求職者
→ 目的:安心感や社風を伝え、「自分にも合いそう」と思わせる - ✅【商品紹介動画】
→ ターゲット:40代の中小企業経営者
→ 目的:問題解決の具体策として「使ってみたい」と思わせる - ✅【ブランディング動画】
→ ターゲット:地元の潜在顧客やステークホルダー
→ 目的:会社の姿勢や考え方を“共感”として伝え、信頼感をつくる
この「誰に・何を・なぜ」=3Wがはっきりしていないと、
「何となく情報が流れて終わる映像」になってしまいます。
■ よくある落とし穴:「言いたいこと全部」入れすぎ問題
中小企業の方とお話をしていると、どうしても「あれも伝えたい、これも入れたい」となってしまうことがあります。
たとえば、ある製造業の紹介動画の企画で、こんな要望が出ました。
- 会社の理念
- 歴史
- 主力商品の強み
- 社員インタビュー
- 取引先の紹介
- 地域との関係性
「5分の動画で、全部入れてほしい」と言われたのですが、それをそのままやってしまうと…
➡ 1つ1つが薄くなり、結果的に何も印象に残らない
➡ 視聴者が「で、何が言いたいの?」と感じてしまう
そこで私は「今回は“商品に特化”した構成にしませんか?」と提案しました。
社長インタビューは絞って入れ、会社の歴史や地域性は別コンテンツにする形で整理。
一つの映像に、目的を一つに絞る。
これが、伝わる映像をつくるための第一歩です。
■ 台本ではなく、“設計図”をつくるということ

私は、映像の前に構成案(いわば映像の設計図)を必ず作成します。
この設計図には:
- 何分構成か(例:前半は事業紹介、後半は人の声)
- ナレーション or ノンナレーションか
- どんな順番で見せるか(インタビュー→作業風景→社内文化)
- どのセリフや言葉を軸に据えるか
などが入っています。
これを**「お客さまと一緒に」考えていくプロセス**がとても重要です。
完成した動画だけでなく、その裏にある「何を伝えるかの整理」こそが、
経営者自身が自分の会社と向き合う機会になることもあるからです。
■ 撮影は「決まったことを、丁寧に拾いにいく作業」
撮影現場で大切なのは、行き当たりばったりではなく、設計図に沿って、必要な“画”をしっかりと撮ることです。
逆に言えば、準備が整っていれば、撮影はスムーズで、余計な取り直しや迷いも減ります。
(私の場合、事前に「このカットで何を伝えるか」を整理しておくことで、1日の撮影でも3日分の効果を出すこともあります。)
これは編集に入ったときにも大きな差になります。
撮影時に「伝える順序」「必要なセリフ」「雰囲気」がちゃんと撮れていれば、
後から“ムリに作る”必要がなく、素材の力で自然に伝わる構成ができます。

■ 見た目の美しさより、“言葉の選び方”が大事になるときもある

映像はビジュアルのメディアですが、伝わるかどうかは、言葉が決めます。
- ナレーションのトーン
- 社長の一言
- テロップに載せる短いフレーズ
これらを雑に決めてしまうと、世界観が崩れてしまう。
逆に、数秒の言葉がその会社らしさを一瞬で伝えることもある。
私は長年に渡って、映像台本を書く仕事を経験し、仕事でコラムを執筆したり、小説を書いたりした経験があるので、
この「言葉を映像とどう合わせるか」にはとてもこだわっています。
目に映る“画”と、耳に届く“言葉”がぴったり重なったとき、初めて“心が動く映像”になります。
■ まとめ:焦らず、まずは“何を伝えたいか”を一緒に整理しましょう
映像づくりは、早くカメラを回したくなるものです。
でも、それを一度こらえて、**「誰に、何を、どんなふうに伝えたいか」**を一緒に考えること。
これが、良い映像をつくるための8割です。
むしろその部分さえ整理できれば、
あとの撮影や編集は、信頼できる仲間とスムーズに進めていくことができます。
最後に
「何をどう伝えたらいいか、分からない」という方。
それは恥ずかしいことではなく、“まだ言葉になっていない魅力がたくさんある”ということです。
だから、焦らなくて大丈夫です。
まずは、話してみるところから始めませんか?
次回予告
次回は「一人ではできないからこそ、つくれる映像がある」と題して、
映像制作の現場で「チームで作ること」の強みや、私がどんな専門家とどのように連携しているのかについて、お話していきます。
