三瀬村ミニドキュメンタリーの裏側
NHKからの依頼を受け、三瀬村を舞台に制作を行ったミニドキュメンタリー「峠ん郷(とうげんきょう)」。およそ5年間に渡り、二週間に一度ほどのペースで放送され、村内外の人々に三瀬村の魅力を伝え続けてきたこのシリーズを通し、地域の人々の暮らしや風習を温かく描き出したことが、地域振興を大きく盛り上げる結果に繋がりました。
今回は、その経験から得られた気づきや地域の変化についてお話させていだきます。
一台のカメラから始まった物語へのアプローチ
映像制作ではディレクターである私が一人で村を巡り、カメラ一台で取材・撮影を行うという地道なアプローチがありました。カメラは片手で持てる小型のものを使用。機動力を活かして、村の人々の日常生活に溶け込むような撮影スタイルをとることでディレクターと村民の間に緊張感を生むことなく、自然体でインタビューを行うことができました。
※著作権の関係から、掲載写真はすべて弊社で撮影したものを掲載しています。


残念ながら、映像自体は著作権が問題から、こちらではご紹介できませんが制作した内容には例えばこのようなものがありました。
村のある農家の男性が育てていたそば畑をご紹介。撮影は種まきの時期に始まり、そばの収穫、粉にする工程、そして手打ちそばを作り、近隣の人々に振る舞う年末の習慣に至るまで数ヶ月に渡って、この過程を細かく追いました。
その時々の男性の様子や気持ちを含め、丁寧に撮影をすることで、彼の暮らしと大切にしている伝統、さらにその伝統を守り続ける理由を映像コンテンツとして浮かび上がせることができました。

このように、ただのインタビューや撮影を超え、生活に深く入り込むことで、村の人たちはただの「被写体」ではなく、「三瀬村に暮らす人」として魅力を描くことができるようになったのです。
この時、私が大切にしていたポイントは、自分自身が単に撮影者ではなく、相手と一緒に物語を紡ぐ存在になる、という事でした。
地域との信頼関係を築く
撮影の相手となった村民一人一人との深い関わりが、映像制作の核となります。
例えば撮影の前に、りんご園で台風によって落ちてしまったりんご拾いの作業を手伝ったこともありました。


また、私は村の行事やお酒の席にも積極的に参加し、村の人々との距離を縮めることで、彼らの本音や感情を映像に込めることができました。




このような体験を通じて、私は村民たちの日々の苦労や困難を理解し、その思いを映像で表現することができたのです。
ドキュメンタリーの撮影ではよく「カメラを通して映すのは単にその人の顔ではなく、相手との関係性だ」と言われます。その言葉通り、撮影した映像には村民との交流の一つ一つに当時の関係性のままに相手との関係性を色濃く映し出すことに成功し、それが映像の質を大きく支えることとなりました。
映像がもたらした地域への影響
映像を見てくれた人たちからはよく「三瀬村の魅力を再発見した」という声をいただきました。
例えば、村の直売所で人気のある粕漬けの技を紹介した回では、作り手である女性が亡くなった叔母から受け継いだという技術も併せて紹介し、村の人々ですら知らなかったうりの粕漬と、作り手の女性の背景を明らかにしました。
この回で視聴者は、直売所の人気商品であるうりの粕漬けが単なる商品ではなく、家族の思い出や地域の伝統が詰まった一品であることを知る事となり、村外の人には「行ってみたい村」、村人には「村の魅力の再発見」という印象を抱いていただける機会に繋がったのです。
また、撮影対象者の中には移住者もおり、彼らがどのように村で生活し、どのように村の人々と関わっているのかも紹介することができました。このことで、移住者と地元住民との間に新たな理解が生まれ、村全体としての一体感が強くなったという話も伺いました。
さらに映像が継続して放送される中で、村の四季折々の風景や伝統行事も記録として残り、三瀬村の歴史を後世に伝える貴重な資料となったとの声もあります。

その中には、今では既に亡くなった方も映させていただいており、彼らの暮らしや思い出が映像として残ることになりました。
この事は村のコミュニティの中で周りの人々と強い絆を育み、暮らしてきた人々から「財産になった」と嬉しい声もいただきました。
結果、村の人たちからは、観光客の増加、故郷の魅力の再発見、活性化の取り組みへのよい影響など、地域振興を盛り上げる為に大きな役割を果たしたとの言葉を伺うことができました。
ありがたいことに、映像が村の誇りをより強固なものにする土台の一つになったのです。
今後の展望と試み
映像の反響や成果を受け、私はこのような映像制作が他の自治体などの地方団体の皆様にも地域活性化の強力なツールとして生かしていただけるのではないか、という可能性に気付くことができました。
しかし、この映像自体は著作権がNHKにある為、局の放送以外では一般の視聴者の方に閲覧していただける機会はありません。
そこでモデルケースとすべく弊社で制作させていただいたのが、三瀬村にある具座という農家民宿のPVです。
終わりに
弊社は今後、地方自治体や団体、学校などの皆様のご要望に答え、映像や文章コンテンツ制作などを通じて、その未来が豊かに発展していくことの後押しができればと考えています。

村民との深い関わりと信頼関係を築き上げ、映像を通じて地域の魅力を発見し、視聴者に届ける。
これからも弊社では映像の力で地域の物語を紡ぎ続け、社会に貢献していくことを目指したいと思っています。
