小さな会社の「らしさ」が伝わる映像とは?

―はじめての企業映像づくり、一緒に考えてみませんか?(8)


「うちは大手企業みたいな立派な映像は作れないから…」

「規模が小さい会社の紹介動画なんて、意味があるのかな?」

そんな声を聞くことがあります。

でも私は、むしろこう思っています。

“小さな会社だからこそ伝えられる”映像がある。

“手の届く距離感”や“顔の見える仕事”が、信頼になる。

今回は、「小さな会社の“らしさ”をどう映像に落とし込むか」について、

具体的な事例や考え方とともにお話しします。


■ 「らしさ」が伝わると、見る人は安心する

人が商品やサービスを選ぶとき、

価格やスペックだけでなく、“誰がやっているか”を見ています。

たとえば──

  • お客様に寄り添う姿勢
  • 電話の応対が親しみやすい
  • 代表や社員の表情に誠実さがある

こうした情報は、文字だけではなかなか伝わりません。

でも映像なら、その人の“空気”ごと、届けることができる。

つまり、企業としての規模ではなく、

「この会社なら安心して任せられそうだ」という信頼感が、映像で伝えられるのです。


■ 「完璧でなくていい」けど「雑にはしない」

小さな会社が映像をつくるとき、

よく誤解されるのが「手作り感=安っぽさ」になってしまうパターンです。

自然体を出すことと、仕上がりが粗いことは別です。

たとえば:

❌よくあるNG例✅好印象につながる例
カメラがブレブレで見づらい手持ちでも安定感を保つ工夫がある
音声が聞き取りづらい実際の声を活かしつつ、最低限の整音
脈絡なく社員の笑顔だけを並べる笑顔の意味や背景がストーリーで補完される

「素朴さ」は武器になりますが、「素人っぽさ」は信頼を損なうこともある。

その境界線を意識するだけで、映像の印象はぐっと変わります。


■ 「社風」や「価値観」は、空気で伝える

小さな会社が一番の差別化になるのは、

**“人”と“空気感”**です。

たとえば、こんな要素は映像で表現しやすく、視聴者の心に残ります。

  • 代表のインタビューで伝える「想い」や「創業のきっかけ」
  • 社内の日常風景:朝の掃除、雑談、手作業の工程など
  • 哲学のような一言:「急がず、でも丁寧にやるのが私たちのやり方です」

これらをナレーションで説明するより、

映像で「見せる」ことで、自然と伝わるのが特徴です。

たとえば、忙しそうに働く社員の背中越しに、

「お客様から“ありがとう”って言われたの、昨日も嬉しかったんですよね」と語る声を重ねる。

それだけで、「この会社って、ちゃんと人が働いてるな」と思えるのです。


■ 「派手さ」より「物語」が共感を呼ぶ

例えば、私が担当した、ある地方のカフェの動画では、

一切ナレーションを入れず、場所と日々の風景だけで構成しました。

その動画には派手な演出はありません。

でも、以下のような構成で物語がありました:

  1. 水出しコーヒーの奥に見える明るいカフェで笑する2人の人影。
  2. 落ちるコーヒーの雫とカップに注がれるコーヒーの様子
  3. ピザなどスイーツの数々。
  4. ロッジ風のカフェ外観(佇まい)

この動画は、地域の人々のSNSで自然に広まり、

「行ってみたくなった」という反応を多く集めました。

派手さではなく、“静かな描写の風景”に心を動かされた人が多かったのです。

カフェのっち(佐賀県佐賀市三瀬村)

■ 低予算でも「小さな強み」を映像にする考え方

小さな会社でも映像制作が可能なのは、**「伝えたい軸がはっきりしている」**からです。

以下のような考え方で進めると、効果的な映像になります。

項目具体的な問い映像への落とし方
核となる想いなぜこの仕事をしているのか?代表インタビュー、社屋風景に声をのせる
日常の工夫大手と違って何にこだわっている?工程紹介、道具・手仕事のアップ
顧客との関係性お客様との関係で印象的なことは?常連客とのやりとり、感謝の手紙など
働く人どんな人が、どんな気持ちで働いている?素顔のインタビュー、表情のカット

「会社案内」よりも「人となり」が見えること。

これが小規模企業の映像の大きな価値です。


まとめ

  • 小さな会社にしか出せない“らしさ”が、動画の武器になる
  • 完璧でなくてもいいが、「雑さ」は信頼を損なう
  • 社風・価値観は“空気”として映像に込める
  • 派手さではなく、“物語”が心に残る
  • 小さな強みを丁寧に切り取れば、予算が少なくても伝えられる

次回予告

次回は「依頼前に整理しておくとスムーズなこと7選」と題して、

初めて動画制作を発注する前に、準備しておくとやりとりが楽になる項目を紹介します。

“何も決まっていない状態”でも大丈夫。

最低限、これだけ押さえておけば安心という視点でお話しします。