地方で事業を展開する中小企業やその広報担当者にとって、「どうすれば自社の強みを的確に、魅力的に伝えられるか」という課題は尽きないと思います。
都市部の競争が激しい市場とは違い、地方には「地域ならではの物語」や「地元愛」が企業の強みとして根付いています。これを生かし、弊社も経営理念「社会を豊かにする物語をカタチに」に基づき、物語性のあるプロモーションを実践し、中小企業の活躍をサポートしてきました。
この記事では、地元に根差し、地域と共に歩む中小企業の価値を「物語」によって伝えるための具体的なプロモーション術をお届けします。
1. 物語を作るための第一歩:「価値」と「歴史」を見つめる
私たちが提供する物語性のあるコンテンツ制作は、ただのプロモーションではありません。大切なのは「価値」を見出し、歴史の延長線上にある未来を描くことです。
地方の中小企業は、大手企業にはない個性やストーリーを持っています。
例えば、私の地元・長崎県波佐見町での経験や、その後の映像制作を通じて感じたのは、「地域密着型のビジネスには必ず“語るべき物語”が存在するということ」です。
TV番組として100回以上制作し、放送された三瀬村のミニドキュメンタリーシリーズでも、人々の生活を通じて地域の本質が浮かび上がる瞬間を目の当たりにしてきました。
ここで重要となるのは、企業や製品に込められた思いや、創業者、事業者の生き様、その地域との関わりです。
具体例:物語を活用した実績紹介
例えば、三瀬村のドキュメンタリー番組では、地元の人々の暮らしを見つめ、地域の変化を映し出しました。こうした地域の暮らしを深く見つめる視点は、企業のストーリーを描く上でも非常に重要です。
例えば、ある女性が人気の酒まんじゅうを作りに取り組んでいる話があります。
国道沿いにある直売で販売している、この酒まんじゅうは、わざわざこの品を買うために県外から足を運ぶ人が絶えないという、大人気商品。作っているのは村の70代後半(私が出会った当初)の女性です。彼女はいつもお米と麹菌を発酵させた種を作っていて、それを生地に混ぜ込み、一晩発行、そして翌日の早朝に蒸してお店に出荷する日々を送っていました。
番組では、そんな彼女の酒まんじゅうを作る工程に密着しつつ、その由来にも彼女のインタビューを通して触れました。
彼女が話してくれた酒まんじゅうの来歴は以下のようなことです。
彼女が小学生高学年くらいの頃、家は植林された木が豊富な三瀬村で製材所を営んでいました。その加工場は家と隣接していてい、そこでは多くの木の職人が働いていたと言います。当時、彼女の母が職人の人たちにまかないとして作ってくれていたのが酒まんじゅう。職人や娘、といった家族の為に母が拵えてくれたものでした。母の酒まんじゅうはおやつ替わりだった彼女は、学校から帰ると、職人たちとその酒まんじゅうを食べるのが日課でした。
私は彼女の両親の写真を映像の中で紹介しながら、彼女が懐かしそうに語る、その笑顔のほころぶ表情も共に撮影させていただきました。この映像制作の中で、私は取材の中で感じた光景をいかにストーリーとして表現するかを大切にしました。それは彼女の中に今も鮮明に受け継がれる、地域の産業に関わる職人たちの姿や、幼いころの彼女とその母の姿の豊かな暮らしの姿が限りなく視聴者にもイメージしやすくする為の工夫です。
その為に過去の写真を見せてもらったり、インタビューをあえて時間をかけて、彼女自身のペースで伺い、その語り口調の「間」を大切にしたりしました。その映像が結果的にわずか1分ほどの映像内での彼女の過去のモノローグの物語となったのです。
そこから浮かび上がってきたのは彼女にとって酒まんじゅうは、直売所でよく売れる人気商品というだけでなく、母と職人たちとの記憶を今につなぐ、かけがえのない食べ物でもあったという事実。
彼女は今、この母から受け継いだ酒まんじゅうを売って稼いだお金で、趣味の日本舞踊を習ったり、同居する孫へのお小遣いにするなどして、豊かな日々を送っています。
私は彼女が話してくれたこの酒まんじゅうに秘められた話を、彼女自身の語りと今の暮らし、そして過去の写真などの映像で構成し、伝えました。
映像そのものは著作権の問題がある為、残念ながらここではご紹介できませんが、これは一つの商品に秘められた情報の中に、秘められた物語が存在するという、一例となります。
放送後、この物語は、ご覧になられた方々から大きな反響もあり、彼女自身にも大いに喜んでいただけました。そして酒まんじゅうの売れ行きも好調だったそうです。
この映像そのものは直接的な酒まんじゅうの販売戦略を狙ったコンテンツではありませんが、中で描いたものは「酒まんじゅうに秘められた家族の絆」という物語です。このように物語が本質を捉えた価値は、結果的に単なる製品紹介以上に深く人々の心に響いたのです。
2. 地元の中小企業が持つ「物語」を活かしたプロモーションがなぜ効果的か
都市部と異なり、地方には人と人の繋がりや地域に根差した活動が息づいています。だからこそ、地元での物語性を打ち出すことが、中小企業にとっての強力なプロモーション戦略になります。
私たちの会社では「社会的価値を物語として形にする」ことをミッションとして掲げており、地元企業の思いを丁寧に紡いでいます。例えば、ある会社の製品が長い歴史の中で変わらぬ製法で作られている場合、それは「変わらないものに対する信頼と安心」を象徴する物語になります。このような価値は、他の企業には真似できないオリジナリティとして発信できるのです。
地方企業が「物語」を生かして成功することで、地域全体の価値向上にも繋がります。
私自身がサポートしている佐賀県内の企業では、商品が地元住民に愛されている理由や、地域資源を生かした製品作りのストーリーを映像や文章で発信し、その結果、地元外からの注目も集めることができました。
地元の企業がその“らしさ”を大切にしつつ、物語性を取り入れたプロモーションを行うことで、地域社会に豊かな文化や価値をもたらすことができるのです。
3. 物語性のプロモーションで実現できる具体的な効果
地方中小企業が物語を活用してプロモーションを行うと、次のような具体的な効果が期待できます。
認知度の向上と顧客の共感
人々は物語に共感しやすいもの。例えば、地域の特産品を使った商品開発ストーリーや、昔ながらの製法を守る姿勢は、SNSやメディアで話題になりやすく、自然な形で認知度が高まります。先日、私が支援した企業も、地元の伝統技術を現代のニーズに合わせてリデザインし、SNSで発信することで、地元の方々からも親しまれ、多くのフォロワーを獲得することができました。
ブランドの信頼性と長期的な関係構築
特に地方では口コミや対面でのやり取りが重要です。物語性のあるプロモーションを通じて、地元の人々や訪れた観光客からも信頼されるブランドとして認知されます。さらに、その信頼関係が長期的なリピーターやファン層の構築に繋がります。私が関わった佐賀県内の中小企業では、映像制作を通じて地域住民との結びつきを強化し、結果的に商品の販売数が向上しました。このように、物語によって企業のファンを作り出し、長期的な事業の成長が期待できます。
4. 自社の強みを生かした物語性のプロモーションの実践方法
具体的な実践方法として、まずは自社の特徴や強み、歴史を改めて見つめ直し、そこから“物語”を紡ぐ作業が必要です。その際、地元の企業だからこそ持つオリジナルの要素や、社員が大切にしている価値観、商品やサービスの生まれた背景を考えるとよいでしょう。
ステップ1:社内でのヒアリング
社員一人ひとりの視点や経験は、物語を作る上で大切な要素です。例えば、「なぜこの会社で働くのか」「この商品にかける思い」など、社内のメンバーの話を聞き出し、共感できるエピソードを集めてみましょう。
ステップ2:ストーリーテリングの技術を学ぶ
物語を紡ぐ際、単なる事実の羅列ではなく、ストーリーとしての構成を意識することで、より多くの人々に共感されやすくなります。私が映像制作で得た経験でもありますが、ストーリーには「登場人物」「課題」「解決策」「未来の展望」という要素が不可欠です。これを企業や製品の紹介にも応用することで、視覚的にも分かりやすい物語が完成します。
ステップ3:具体的なツールを活用
映像やSNS、ウェブサイトなど、発信するツールを有効活用しましょう。例えば、SNSではショートストーリーとしてエピソードを投稿することが可能ですし、企業のウェブサイトでは専用の「物語」ページをブログなどとして設け、顧客が共感できるような内容を定期的に更新するのもおすすめです。特に映像は視覚的に強い印象を与えるため、商品紹介の動画だけでなく、制作現場や社員インタビューなどを盛り込み、ストーリー性を高めましょう。
まとめ:地元愛を表現する物語性あるプロモーションの未来
弊社は、「1人1人が生み出す社会的価値を物語として形にし、事業者がより活躍する社会を実現する」ことをミッションに、物語性のあるコンテンツ制作を軸に活動しています。地方の中小企業が地域の価値を物語を通して伝えることで、新たなファン層を開拓し、地元との結びつきを強化できると考えています。
弊社では、このようなストーリーの企画や構成、映像制作、撮影、編集、動画制作内製化の全般的なサポートなど、様々な依頼を承っております。効果的なストーリーによる情報発信で、より多くの顧客にリーチし、売上向上につなげていきましょう。
