企画が命。テレビでの番組作り17年の経験から学んだ価値を伝える動画コンテンツ制作のポイント

価値ってどうやって伝えるの?

ある時、取引先の担当者から「商品やサービスの価値をどうやってうまく伝えられるのか?」と尋ねられました。

私が「誰に伝えるのですか?」と尋ねると、その人は「広く多くの30〜40代の男女というくらいしか考えたことがない」と返されました。

そこで私は「どんな人に伝えるのかを考えましょう」と提案し、企画の検討が始まりました。

試行錯誤の末に生み出した事業サービスや商品の価値も、それを潜在的に求める人たちに正しく魅力的に伝えられなければ、売れません。

そもそも「購入」とは、お客様がそのサービスや商品に自分なりの価値を見出し、「この価値が欲しい」と思って対価を支払う行為です。

私は不特定多数の視聴者に向けてその価値を正しく伝える仕事を続けてきました。

取材対象の取り組みを伺い、情報を整理して番組という動画コンテンツを作成し、放送してきました。

その過程には視聴者の声を聞きながら、その価値が正しく効果的に伝わったのかを毎回検証していくプロセスがありました。

重要だったのは「ターゲット」の設定です。

テレビは不特定多数の人に向けて放送されるものであるものの、作り手が具体的にターゲットを想定しなければ、伝わるものにはなりません。

私の場合、ドキュメンタリー番組では、取材させていただいた本人やその家族、近親者がターゲットでした。

内容を知っているはずの人々が見ても驚き、楽しみ、歓喜し、新たな気づきや価値観を得ることができる番組。

そんな番組を想定し、企画の狙いを深く突き詰めていくと、不思議なことに、普遍性が生まれ、より多くの人に伝わるものになったのです。これは非常に貴重な経験でした。逆に狙いがぼやけた番組は、仮に企画が通ったとしても、視聴者の反応はあまり良くなく、「印象に残らなかった」という感想で終わってしまうことが多かったのです。

これまでの経験を振り返る中で、実感を伴って思い至ったのは「企画こそ命」という事実です。

この経験がこの記事を書くきっかけとなりました。ビジネスにおいても、物が売れるということは事業者が提供する価値が正しく伝わり、対価が支払われること、その循環と発展が重要であると考えるようになったのです。

実際に私が依頼を受けた有田焼のある会社では、打ち合わせの中で狙いやターゲットを十分に練った企画をもとに、ストーリーテリングを活用して構成したPVが効果を上げました。

新商品の鍋は「手軽においしいご飯が炊ける」という特徴を持ち、「手軽においしい家族の食事を作りたい主夫・主婦層」をターゲットに設定しました。この企画では、実際の調理シーンや食事シーンを交え、約1分で商品の使い方と魅力を伝える動画を制作しました。

この動画は、ウェブサイトや店頭、展示会での商品棚用のディスプレイで流され、その結果、売上は5倍以上に増加しました。

動画事例 https://youtu.be/UoeyLcR_H5A

では企画とは動画コンテンツ制作の中でどう重要なのか。

その重要性について、これから動画コンテンツ制作の工程をたどりながら、私なりの考えをお話しします。

動画制作の工程とは?

動画コンテンツ(=番組)は映像ディレクターという役割の人間が中心となり、制作を進めていきます。

映像ディレクターとは動画コンテンツを作る上での責任者であり、決定者。撮影する対象や場所、演出などを文字通り、決める人です・

重要なのは企画立案と、その中での狙いを軸として定め、その軸を制作工程の中で貫き、追及していくという部分です。

このお話の前提として、まず動画コンテンツを作るにあたっての流れをご紹介します。その工程は大きく以下の4つに分けることができます。

企画(狙いやターゲットなどを設定)

構成(ストーリーテリングによって狙いを伝える為の物語を構築)

撮影(構成を映像という形で描く為のロケ)

編集(構成・撮影を経て揃えられた材料を企画に沿った動画コンテンツに仕上げる総仕上げ)

企画はいわば動画を制作する理由や狙いを明確化するもの

動画が「どんなコンセプトで誰に向け、どんな狙いでどのくらいの長さで」作るものかを決めるのが、この企画の工程です。

映像ディレクターはこの工程でプロデューサーやクライアントと綿密に意見交換を行い、企画を固めていきます。

企画の中には当然、制作に掛かる日数や必要な人員、予算なども含まれます。まだ具体的な制作が始まっていない段階なので確定できないものもありますが、それでも「どの予算内、期限内であれば制作が可能なのか」など予測し、決められるものは徹底して決めていきます。

ここで完成時期、そこから逆算した撮影日程、その詳細スケジュール、前準備の為の交渉事、スタッフの手配などが導き出され、具体的な青写真が完成します。

構成は企画の狙いに沿って、どんな動画を作るべきかを決めていく工程。

構成では「必要な情報は何か?」を吟味し、その情報を「どんな順番」で「どんな表現」によって「どんなストーリー」として形を作っていけば狙いを達成できるかを検討していきます。

例えば、ブランドのみかんを紹介する場合。木に実っているみかんの映像から入り、名前と特徴を紹介することから始まった方がいいのか。

もしくはみかんを使ったビジュアルも素晴らしいスイーツを最初に見せ、そのスイーツを目当てに来るお客様で賑わっているカフェの様子を導入として撮影し、そこからみかんの基礎的な情報の紹介に映った方がいいのか。

伝えたい相手(ターゲット)によって、この構成は大きく変化していきます。

いずれにしても、その伝えたい相手が生理的にも理屈としても、最も興味、関心を抱き、好奇心を刺激される形で「もっと見たい。さらに先が見たい」と思えるようなストーリーが描けているかどうか。

こちらが「伝えたい情報」は興味、関心を持った人が触れることで初めて相手に届きます。ただ最初から基礎情報を説明するだけでは、到底届きませんし、

むしろ無視されてしまうかもしれません。興味や関心がない、もしくは低い相手に対して、まずどのような映像や音楽、文字による情報などで好奇心を刺激し、興味や関心を喚起させ、そしてこちらが狙う「伝えたい価値」を受け取ってもらう心的状態にまで誘っていけるか。

それが構成によるストーリーリーテリングとなります。

撮影は企画と構成を映像として「表現」する工程。

「いつ」「どこで」「どのように」撮影すれば企画と構成に沿った映像を形にできるのか。

その現実的な場所や時間、そして必要であれば出演してもらう人の都合などを調整し、段取りを組み、実際の表現に臨む工程が動画コンテンツ制作における「撮影」です。

ここは場合により、出演者やカメラマン、音声マン、照明担当者、スタイリストや車両担当者などの各分野のプロフェッショナルの人たちとチームを組みます。

その為、企画と構成を打ち合わせすることはもちろん、何より彼らが最高のパフォーマンスを発揮できるよう環境を整えることがディレクターの役目となります。

例えば・・・

「出演者の時間的猶予はどのくらいか?」

「服装は?撮影場所は?どんな話をどんな順番で聞き出すのか?」

「撮影場所の広さはスタッフが動き回れる広さの余裕がどのくらいあるのか」

「機材準備や撮影する角度を検討する時間の猶予はどのくらいか?」

「現場までの移動時間はどのくらいか?」

「現場に電源いくつあるか?電圧はどのくらいか?」

「そもそも使用は可能なのか?」

「機材を安全に集積し、準備できるスペースはあるのか」

「昼食はどうなるのか?」

「休憩はいつどのくらいできるのか?」

これはほんの一部ですが、撮影には他にも映像の中には現れない地味な情報の確認や手配などといった多くの段取りがあります。これらのことを細かく調べ上げ、チームメンバーと共有し、同じ腹積もりで臨んでいくのです。

チームメンバーはプロとして基本となる仕事はもちろん、やってくれるのですが皆、人間ですので仕事の環境がよければよいほどその力は発揮されると私は考えています。

例えばお昼に用意するお弁当にカメラマンの好物が入っているものを選んだり、休憩時間はしっかり確保し、しっかりと意識を切り替え、撮影に臨める段階を意識したスケジュールを組んだり・・・。

そうしていくと撮影現場で、カメラマンが得意な撮影の方法による表現を提案してくれたり、音声担当の人が「こういう音も収録しておくと編集で生かせるのでは?」とアイディアをくれたりしました。

実際にその案を取り入れ、撮影した結果、動画コンテンツが予想以上によい仕上がりとなり、視聴者やクライアントに高い評価をいただいた、ということがありました。

映像ディレクターの立場からすると、ロケでのチームの前向きな仕事が結果的に企画の狙いに沿った表現を120%、150%と超えてくれるのはうれしい限りですし、それはチームでしかなしえない、チームだからこその仕事です。

だから私はチームが現場で最高の仕事ができるようにする為の環境づくりには労力を惜しみません。

予算や日程、時間といった限られた時間の中で最大限、力を発揮してもらうにはどんな段取りが最善なのか、それを考えて、実行することが「撮影」だと私は考えています。

編集とは映像コンテンツ制作が「生まれる」工程

編集では撮影した映像を構成に従って、しかるべき形にするためにつないでいく工程です。

ここで文字情報としてしか書いていなかった構成(ストーリー)に映像や映像効果、文字テロップ、音楽、SEが適切な表現、適切なタイミングで配置され、映像コンテンツが生まれます。

ほとんどの映像コンテンツ、特に番組に関しては一度、構成に従って編集した後はプレビューといって映像を最初から見直します。

そして企画の狙いが達成できるものになっているかどうかを検討するのです。

映像のつなぎが狙いを伝える効果を出しているか、文字を出す位置やフォントのデザイン、大きさなどが適切か、音楽の入るタイミングや音量、映像との親和性は問題ないか、映像素材で生かすSEの大きさやタイミングに問題はないか・・・。

基本的に映像は1秒間が30枚の写真で構成されています(撮影時や編集時の設定によって変更される場合があります)。

その為、編集の最終段階までいくと、この1秒の30分の1のレベルで映像を調整していくことになります。

「視聴者はそんな細かなところにこだわっても気づかないし、わからないんじゃないの?」

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、映像は視覚と聴覚によって、情報を情緒を伴いながら伝えていく媒体。受け手となる視聴者は言語化をしないだけで意識的にか無意識的にか映像の違和感はすぐにわかってしまいます。

それが映像の怖さでもあるのです。その為、一見細かく見えるところもまでも調整し、何度もプレビュー(番組ではプロデューサーを交えて試写という作業を行い、現場に入り込んでいるディレクターとは違う客観的な視点から番組を検討し、ブラッシュアップしていきます)していく。

違和感を排除し、企画の狙いがしっかり視聴者に届く動画になっているかどうかを吟味していくのです。

前置きが長くなってしまいました。

もううすうすお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。この一連の動画コンテンツ制作の工程において、もっとも重要なところはどこか。

そう、すべての制作工程を貫く物差しとなっているのは企画なのです。

企画がブレていれば、構成も定められず、撮影の時にも現場で迷いが生じ、時間がかかってしまいます。

編集もうまくいきません。

狙いが定まっていないのですから映像をつなぐ方針に迷いが出てしまうのです。

そして結果的に出来上がった映像コンテンツも狙いがブレている為、視聴者には全く伝わりません。

つまり時間と労力、予算ばかりがかかって効果的な映像コンテンツができない、ということになってしまうのです。

逆に企画さえ明確となり、クライアントをはじめ、チームメンバーがその狙いを共有し、同じ方向を向くことができれば、いいことばかりです。

的確な構成によって必要最小限の撮影を行い、明確な狙いの軸に沿って映像を編集することができ、制作時間も効率化できます。そして何より企画の狙いを伝える為の最も効果的な映像コンテンツを生み出すことができるのです。

動画制作コストについて

動画制作を依頼する場合、「コストがどのくらいかかるのか」、「どのようなところにコストがかかっているのか」というところが気になる方も多いかと思います。

あくまでも私の長年の番組制作経験上のコスト感覚ですが、これはスキルと時間、そして関係する人数によって変化してくると思います。

例えば事例のような1分ほどの動画の場合、動画自体はとても短いものです。

しかし、企画を検討し、狙いを定め、構成を作っていく撮影前までの工程はおよそ2日かかっています。

それは私がクライアントと打ち合わせを重ねながら企画のターゲットや狙いを研ぎ澄まし、より動画の効果を上げる為にブラッシュアップを重ねていったからです。

この工程はクライアントを除けば基本、私1人ですが、経験に伴うスキルと作成時間が「ディレクション費」としてコストに加味されています。

TVでの番組作成経験17年の映像ディレクター1日単価×2日=ディレクションコストA

事例では撮影は1日でした。この時、撮影は私1人がカメラマンや照明を兼ねて、クライアントにも場所や必要な道具、準備などの多大なご協力をいただき、早朝から夜八時過ぎくらいまでかかって終えました。これはイレギュラーなケースです。

通常であれば撮影専門のカメラマン、照明技術を持つライトマンなどの他の専門職の方々が加わって撮影することになります。

当然、その場合にはより質の高い映像表現、光の表現などが可能となる一方、それぞれのメンバーの経歴とスキルに見合った1日あたりの単価がコストに加算されることとなります。

(TVでの番組作成経験17年の映像ディレクター1日単価)×撮影日数1日=B

(プロフェッショナルカメラマン1日の撮影単価)×撮影日数1日=C

(プロフェッショナルライトマン1日の撮影単価)×撮影日数1日=D

A+B+C=撮影コスト(+交通費等諸経費)

この事例において編集に関しては2日を要しました。クライアントに確認していただき、修正作業も行った為、その作業時間も踏まえると編集時間は3日となります。

(TVでの番組作成経験17年の映像ディレクター1日編集単価)×編集日数3日=E

つまりこの事例の動画コンテンツ制作コストは以下の式が成り立ちます。

A+B+C+D+E=X(動画コンテンツ依頼コスト)+交通費等諸経費

例えば撮影において私の撮影技術でカバーできるものであればCは私のカメラマンとしての費用のみで抑えられます。

一方、より技術を要する映像ニーズがあり、より質の高い撮影が必要となれば、私がディレクションのみに徹し、別途Cのカメラマンへの依頼が必要となるため、コストが加算されます。

これらの単価は、それぞれの会社が独自に設定しており、様々ですので㏋を閲覧するか直接連絡して尋ねて確かめる必要があります。

弊社に関しては依頼内容と金額を明記している為、こちらをご覧ください。

動画制作依頼について – 株式会社ひぐちワールド|佐賀市の動画撮影・編集・制作 (higuchiworld.com)

一方で動画コンテンツは作ってしまえば何度でも使用可能です。

SNSや㏋での発信、展示会場での閲覧、商談会でのプレゼンテーションでの使用など、コンテンツによって様々な使い方が可能で、繰り返し何度でも使えるアーカイブ化できることが魅力です。

固定されたコストでありながら、何倍もの効果を上げられる。それが動画コンテンツの強みです。

そのためには、やはり「企画が命」です。

特に、ターゲットを明確に定め、そのニーズに応じた企画に時間と労力を注ぎ込むことが重要です。

弊社では、貴社の商品やサービスの魅力を最大限に引き出し、ターゲットに響く映像コンテンツを制作していきたいと考えています。よろしくお願いします。