映像の面白さとは

ドキュメンタリー番組を制作していると、取材先でよく言われる言葉があります。

「面白かったし、よかった。でも、あんなに3日間も撮影したのに、放送は7分くらいなんだね。大変だね。」

確かに長時間の撮影を行うことはありますが、実際には丸々3日間カメラを回しているわけではありません。取材協力者の許可を得たうえで、番組の狙いに沿った撮影ができる時間帯を選んで撮影を行います。

例えば、「新規就農者の冬から春に向けた準備と、新たな挑戦」をテーマにした番組を制作する場合、撮影の中心となるのは次のようなシーンです。

  • 冬の畑で春に向けた種の選定や土作りを行う様子
  • 新たに挑戦する作物の苗を購入し、育苗ハウスに並べる作業

撮影は30分ほどで終わることもあれば、2時間以上かかることもあります。作業そのものの時間だけでなく、企画の狙いを伝えるために必要な表情や動きが現れる瞬間を逃さないためです。「新たな挑戦」をどう映像で描くかを考えながら、被写体の一挙手一投足に注意を払うことが求められます。

こうした葛藤の中で、相手の都合に配慮しながらも、許される範囲で撮影時間は長くなります。その結果、多くの映像は実際の編集では使われず、狙い通り、もしくはそれを超えた映像だけが最終的に番組に採用されるのです。その積み重ねが、冒頭の「撮影時間と放送時間のギャップ」に対する驚きへとつながっていきます。

映像の「面白さ」とは

映像の面白さの一つは「発展性」にあります。

例えば、取材先で「新たな挑戦」に取り組む新規就農者が、これまで育てたことのない苗を準備していたとします。その苗には特別な特徴があり、通常よりも多めの肥料が必要だったり、植え付け前に一定期間ハウスで温度管理をしなければならなかったりするかもしれません。

こうした細かい工夫を映像で記録し、春になって実際に苗を植える瞬間を撮影すれば、視聴者は数か月にわたる挑戦の過程を1~2分の映像で追体験できます。そこには、新規就農者が試行錯誤しながら挑戦する姿が映し出され、視聴者はその努力に共感し、「先を見たい」という気持ちを抱くのです。

もし、こうした構成を考えずに、ただ新規就農者の日常を映すだけの映像だったらどうでしょうか。農業に興味がある人には受け入れられるかもしれませんが、広く一般の視聴者に伝えたい場合、十分に魅力的な映像にはなりません。

視聴者の関心を引く「面白さ」とは

視聴者の興味・関心を惹きつける映像の「面白さ」とは、「展開」にあります。

映像は、視聴する際に時間を拘束されるという特性を持っています。そのため、限られた時間の中で、いかに視聴者の関心を惹きつけ、最後まで見てもらうかが重要です。

そのためには、

  • ストーリー性を持たせる
  • 映像に発展性を持たせる
  • 企画の狙いを明確にする

といった要素を意識し、内容を構成していく必要があります。

もちろん、今回、ご紹介した内容は映像の面白さの一端にすぎませんが、重要であり、かつ意識すれば様々な企業様、団体様でも映像を制作される際に活かすことができる技術となります。

弊社では、映像制作を通じて、企業や自治体の皆さまの想いや取り組みをより多くの人に伝えるお手伝いをしています。映像の「面白さ」を最大限に引き出し、視聴者の心に響く映像制作をサポートいたします。

映像を活用したプロモーションや情報発信をお考えの方は、ぜひご相談ください。