海洋教育の重要性を伝えるために③

(公財)笹川平和財団 海洋政策研究所 動画掲載サイト

https://www.spf.org/pioneerschool/news/20240908_OEC2024-report.html

1. 編集方針の確立

撮影素材を整理し、映像の方向性を決めることが編集作業の第一歩です。今回の映像は、以下の2つの目的を両立させることを目指しました。

  • 記録映像としての正確性:プログラムの全体像や参加者の学びを正しく伝える
  • PR映像としての魅力:視聴者が興味を持ち、プログラムへの関心を高める

そのために、①でご紹介したストーリー性のある構成を意識し、単なる時系列の記録ではなく、②でご紹介したように視聴者が「自分もその場にいるように感じる」映像作りを目指しました。

2. 構成の組み立て

まず、撮影素材を精査し、企画構成に従って、以下のような流れで編集することにしました。

  1. オープニング
    • ドローン映像を活用し、美しい海と志賀島の風景を見せる
    • 参加者が集合し、期待感を持って出発するシーン
    • イントロとして「このプログラムは何を目的としているのか」を簡潔に説明(テロップやインタビューなどによって表現)
  1. フィールドワークの様子
    • 文化・歴史・自然環境を学ぶシーンをバランスよく配置
    • 参加者の驚きや発見のリアクションを強調
  1. インタビューの挿入
    • 参加者の感想や学びの瞬間を短いコメントとして適宜挿入
    • 研修の意義を視聴者に伝わりやすくする
  1. エンディング
    • 研修を終えた参加者の感想
    • 夕景の美しい風景と共に「この学びを未来にどう生かしていくか」というメッセージを込める

3. 編集の工夫

映像の流れをスムーズにし、視聴者を引き込むために、以下の編集技術を活用しました。

  • Bロールの活用
    • 本編の流れを補足するため、風景や作業の手元のカットを適宜挿入
    • たとえば、専門家の解説シーンでは、その内容に関連する映像を重ねることで理解を深める

※展望台で港湾の地形についての解説が行われているシーンでは、使用した音声内容に合わせて、ドローによる港湾空撮の映像を挿入する、など。

  • 音声とBGMの工夫
    • 環境音を活かしながら、場面に応じたBGMを選定
    • 参加者のインタビュー音声は明瞭に聞こえるよう、ノイズリダクションを適用
    • 重要なコメントは、テロップで補足し視認性を向上
  • 視聴者を飽きさせないリズム
    • 長尺の説明部分はカットを細かく繋ぎ、テンポよく編集
    • ダイナミックなカメラワーク(ドローン・移動ショット)を適度に挿入し、単調にならない工夫

4. 編集の課題と対応策

編集作業中、いくつかの課題が発生しましたが、それぞれを株式会社テラビット様と相談し、対応策を講じました。

課題対応策
インタビュー音声に雑音が多いノイズリダクションとイコライジングを適用
風景カットが多く単調になりがち参加者のリアクション映像と組み合わせて変化をつける
全体の尺が長くなりすぎる重要なシーンを厳選し、テンポを意識してカット

5. 完成映像と今後の展望

最終的に、記録映像としての役割を果たしながらも、PR映像として魅力的な作品に仕上げることができました。

(公財)笹川平和財団 海洋政策研究所 動画掲載サイト

https://www.spf.org/pioneerschool/news/20240908_OEC2024-report.html

  • ストーリー性のある構成で、視聴者が自然と映像に引き込まれる流れを作る
  • 参加者のリアルな体験を軸に据え、共感を生む映像を意識
  • 映像美と音の工夫で、視聴体験として心地よい作品に

これらの編集作業は、まず私が映像ディレクターとして、撮影素材をすべて確認することから始まります。使用する映像や音声を選定し、企画構成に沿って具体的なタイムコードと内容を記載した編集用台本を作成。その台本をもとに、株式会社テラビット様に編集を進めてもらいました。

仮完成した映像に誤情報がないかを、笹川平和財団海洋政策研究所(以下、OPRI)に確認いただくとともに、修正点などを洗い出していただきます。フィードバックを受けて編集台本を修正し、再度、株式会社テラビット様と共有。その後、修正を加えた映像を再びOPRI様にご確認いただく——この工程を繰り返しながら、映像の完成度を高めていきました。

私の立場からは「視聴者に効果的に伝わるか」を、OPRI様の視点からは「財団として適切な表現か、誤情報がないか」などを、それぞれ慎重に確認しながら進めることで、撮影時に立てた企画構成を編集段階でもブラッシュアップし、映像の質を向上させることができました。

私は、この工程が映像制作において、最も重要だと考えています。


NHKで番組制作に携わっていた頃、恩師であるプロデューサーからこんな言葉をよく聞かされました。

「取材相手と一緒に放送を見るつもりで番組を作れ」

もし情報が間違っていたり、取材相手が納得できない内容だったりすれば、一緒に見ることはできません。この言葉は、20代前半だった私にとって映像制作の本質を考えさせられるものでした。その教えは、今も変わらず私の制作の軸となっています。

今回の制作でも、株式会社テラビット様、そしてOPRIの皆様と密に連携を取りながら進めることができました。

その為、依頼を受けて制作するというよりも、「共に作る」という感覚で取り組むことができたのは、本当によかったと思っています。

同じゴールを目指し、一つひとつの工程を丁寧に積み重ねることで、より良い作品を生み出せたのではないかと感じています。

そして、完成したPR映像は今年2025年3月3日に公開されました。
この映像を通じて、より多くの方が海洋教育に興味を持ち、この取り組みの意義や価値が広く伝わることを願っています。