海洋教育の重要性を伝えるために②

(公財)笹川平和財団 海洋政策研究所 動画掲載サイト

https://www.spf.org/pioneerschool/news/20240908_OEC2024-report.html

撮影準備と打ち合わせ(前回のふりかえり)

撮影に先立ち、クライアントである笹川平和財団海洋政策研究所(以下、OPRI)様、撮影・編集担当のテラビット様とオンライン上で事前打ち合わせを行いました。ここでは、企画と構成の共通認識を持つことを目的とし、撮影の方向性や具体的な手順、日程について確認します。

特に、記録映像としての基本方針と、PR動画としてどのように魅力的に伝えるかが重要なポイントでした。PR動画では、海洋教育を知らない人々にも興味を持ってもらうことを目的としており、単なる説明ではなく、共感や好奇心を引き出すストーリー構成が求められます。そのため、主催者であるOPRI様の視点を踏まえつつ、必要な情報の整理と映像表現の方向性を擦り合わせました。

事前にこのような打ち合わせをしっかりと行えたことで、撮影現場でのスムーズな進行につながりました。

撮影当日: 記録撮影とPR映像制作

撮影はディレクターである私と、テラビット様の撮影チーム2名(カメラ・音声スタッフ)で実地。現場ではスケジュールや導線などを詳細にチェックしながら動くことで、参加者の妨げにならないよう最新の注意を払いました。

記録映像としてプログラムの進行に沿い、場所ごとに内容を押さえつつ、PR動画用のカットも意識して撮影する必要がありました。

その点、事前の打ち合わせで企画構成を共有していたため、互いに撮影の狙いは明確です。

「ここは研修への期待感を演出する場面だから、期待に満ちた参加者の表情や、発言を狙っていこう」

「展望台で港湾が見える場所から、国交省の方が、その地形や開発についての話があるので、話を聴く参加者の様子に加え、その前後で地形がみてわかる風景も撮影しておこう」

分単位で動く研修の綿密なジュールの中で、記録映像を撮影しつつ、効果的な㏚動画を撮影する為に撮影の狙いを明確にしておくことは必須条件です。

 もし、狙いを定めておかなければ当然、映像は記録映像としての撮影のみになってしまいますし、だからいって現場で狙いを考えていてはすぐに時間が来て、貴重な現場での撮影時間を失います。

PR動画の効果を上げるべく、現場の雰囲気や参加者のリアクションを魅力的に伝えることを考えた今回の撮影では、研修プログラム撮影中、この狙いに沿った映像に十分な時間を使えるよう、制作チームは撮影前日に福岡 志賀島入り。

株式会社テラビット様と今回の㏚内容に沿ったドローン撮影を実施しました。これにより、当日のプログラム進行中では撮影が難しいドローン撮影を事前に行うことができました。

研修のプログラム撮影そのものは博多駅からスタートしました。

事前に作成しておいた企画構成に従い、志賀島に向かうバスの待合場所に集まっていた参加者にインタビューを行い、期待や意気込みを撮影。

集合予定時間から出発までの時間的な猶予はおよそ15分。

何人に、どのくらいの話を聴けるかが勝負です。

「今回の研修に期待していることは?」など、私は複数の質問事項を準備しておき、カメラとマイク担当の株式会社テラビット様のスタッフ2名と共に1人、1人の参加者の声を収録しておきました。

出発したバス車内では、研修内容の説明を記録しつつ、時間を計測。目的地が近づく頃に、ほとんどの参加者が初めてとなる今回の舞台、志賀島の海をみてどのような反応があるかを狙うことにしました。

この辺りは事前に作成した企画や構成にはない不確定要素ですが、よい反応が撮影できれば、視聴者にも研修への期待感を伝える映像となります。

その結果がどうなったのかは、㏚動画をご覧ください。

(公財)笹川平和財団 海洋政策研究所 動画掲載サイト

https://www.spf.org/pioneerschool/news/20240908_OEC2024-report.html

フィールドワークの撮影

現地では、文化や歴史、自然環境をテーマとしたフィールドワークが行われ、それぞれ専門家による解説が加えられました。ここでも私たちはドキュメンタリーの手法を生かし、参加者の自然な反応を重視し、なるべく驚きや発見の瞬間を効果的に撮影できるようなアプローチを試みました。

例えば、志賀島に初めて訪れた参加者が展望台に上り、島と海の景色を目にした瞬間を狙って、その表情を撮影。少し間を空けて一言「いかがですか」と短い質問を投げかけてみる、などいったアプローチです。

 ㏚動画の中で伝えるべき「情報」は既に事前の企画構成を作って共有している為、皆の頭の中に入っています。もちろん方向性も共有しています。

 この現場で大切なのは、㏚動画の方向性に従って、より効果的な映像をどう撮影できるか、です。

 その為、私たちは参加者の感情の動きに注目しました。上記のアプローチの事例に上げたように、「この場所でこのような話を聴いた時、参加者はどのような感情を抱いているだろう。どんな考えに至っているだろう。その結果、どう行動するだろう」ということを必死に考え、予測するのです。

 もちろん、完全な予測は不可能ですが、近いところまでその予測がたどり着いていて、適切なアプローチができれば、「そうそう。同じ気持ちだった」というような共感が生まれます。

 それはインタビューに答えていただいた参加者の表情や行動に如実に表れ、フィールドワークを重視する今回の研修の魅力を伝えるための重要な映像表現に直結します。

 豊かな表情。現場の空気感。

一見、抽象的なこれらの要素は、半歩先の予測と適切なアプローチによって、映像の中に記録として落とし込めるようになるのです。

映像制作を通じた体験

よく映像を視聴する際に「映像体験」という言葉が使われますが、今回の研修に関しても、私は撮影を通じて、単に記録するのではなく、海洋教育プログラムを体験しながら映像コンテンツを作るという感覚を持ちました。

PR動画では、事実を正確に伝えるだけでなく、視聴者が「見たい」と思える映像にすることが重要です。そのため、上述したように、制作側も現場の空気を深く感じ取り、それを映像表現に反映させることが求められました。

長時間の撮影は体力的に厳しい部分もありましたが、それ以上に、参加者の真剣な探求姿勢や主催者の熱意に触れ、私たち自身も突き動かされるように撮影を進めました。

結果として、膨大な映像素材を得ることができ、編集作業においても多様な選択肢を持つことができました。撮影の工夫と事前準備があったからこそ、PR動画としての完成度を高めることができたと実感しています。


次回は、これらの撮影素材をどのように編集し、魅力的な映像作品へと仕上げていくのかについて詳しくご紹介します。編集作業におけるポイントや視聴者に響く映像表現の工夫について解説していきますので、ぜひご期待ください。